西澤知美
東京都生まれ。
美容や医療を主題としながら、それら現代の技術が対象とする身体や肌の表れ――そしてそのフィクション性を通底的なコンセプトとして扱い、自己の境界を探求している。今日において美容と医療は不可分の関係となり、生得的な身体の二次的加工ではなく、「本来の自己」を獲得するための根源的プロセスとして社会に浸透している。西澤の作品は、こうした身体への介入を素材的・概念的レベルで操作し、表層と深層、自然と人工、自己と他者の境界線を批評的に揺さぶる。
彫刻、写真、インスタレーションなど多様な手法を通して、表現の内外にある構造を可視化しながら、美と医療の実践が内包する複雑な真実を浮かび上がらせる。単なる批判にとどまらず、変容の時代における新たな自己決定の枠組みを提示し、美容技術との関わりをめぐる別の可能性を指し示す。